カードと小銭が重ならない財布の1つである「usuha」の新バージョン、「usuha2」を購入してからもう3ヶ月が過ぎようとしています。
ここでは恒例のサイズ測定を行いつつ、前作usuhaの測定結果や特徴などと比較していきます。
上記右側の測定画像については、最も厚みが出るであろうコインポケット部分を含めた財布のマチの厚さを測定した数値です。
コインポケット部分の厚みが増すのもusuhaと同じ。全体的に微小なサイズアップがあるみたいですね。
> usuhaではお財布全体が綺麗にペチャンコに潰れるように設計しておりましたが、usuha2では全体の剛性も強化して小銭入れ両サイドが潰れないような設計をしました。
前作usuhaは経年変化により、最も分厚い部分であるコインポケット周りも薄く潰れてコンパクトになることが期待できました。
しかし今作は軽く触った感触から分かるほど「カッチリ」とした仕立てに。悪く言えばエイジングによるスリム化を期待するのは難しそうです。
usuhaとusuha2両方を手で触ってみれば感触の違いは瞭然。こればかりは実物を触ってもらわないことにはお伝えしづらいですね。
製品名 | 測定画像 | 短辺 | 長辺 | マチ | 収納時 マチ | 面積 | 体積 | 収納時 体積 | 百円玉 限界容量 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
artigianoのusuha | 8.8 | 8.9 | 0.8 | 1.2 | 78.3 | 62.6 | 94.0 | 23 | |
artigianoのusuha2 | 8.9 | 9.0 | 1.0 | 1.3 | 80.1 | 80.1 | 104.1 | 18 | |
SYRINXのHitoe Fold | 9.3 | 9.5 | 0.8 | 1.1 | 88.4 | 70.7 | 97.2 | 43 | |
OUT OF ORDINARYのTIME | 8.9 | 9.5 | 0.6 | 1.1 | 84.6 | 50.8 | 93.1 | 24 | |
アブラサスの薄い財布 | 9.6 | 9.8 | 0.9 | 1.2 | 94.1 | 84.7 | 112.9 | 16 | |
HUKUROのJITAN | 9.9 | 12.1 | 0.6 | 0.9 | 119.8 | 71.9 | 107.8 | 38 | |
エムピウのピアストラ | 10.0 | 10.3 | 0.9 | 1.3 | 103.0 | 92.7 | 133.9 | 30 |
usuha2のカードの使い勝手について
usuhaの大きな特徴の1つであったベロ引き出し方式のカードポケットは廃止され、普通に指でカードを摘まんで取り出す仕組みになりました。
指がカードにかかりやすいよう切込みを設ける工夫がされていますが、機能性は下方修正。
まあusuhaにあったベロは見た目がイマイチすぎたので仕方ないですね。
カードポケットのストッパーは健在ですのでカードがこぼれ落ちるリスクはありません。前作同様財布を閉じたままカードを出し入れできます。
usuhaの紙幣の使い勝手について
サイズアップした分札室にも微妙に余裕が生まれ、中央部にできた切り込みのおかげで紙幣は取り出しやすくなっています。
後述しますがコインポケットの特異な構造にも変更が加えられ、紙幣取り出し時に小銭がこぼれるようなこともなくなりました。
しかし、レシートスペースのため札室仕切りパーツが追加されているのは、厚みが生じるマイナス点?
「カードストッパーの干渉を避ける」役割を果たすのは良いとして「本体の剛性の強化」というコンセプトは個人的には余計に感じました。
もちろんカッチリした仕立てを好む人の方が多数派なのは間違いないのですけど、今作では財布のスリム化が優先されなかったのは個人的に残念。
usuha2のオリジナルレザーホックについて
usuha2の大きな特徴が、この完全独自開発のレザーホックです。
三角形に切り取られた両側パーツを差し込むことで、ホックやファスナーのような財布の留め具の役割を果たしています。
一旦レザーホックを差し込んでしまえば、勝手に留め具が外れて財布が開いてしまうことはなさそう……と断言できるかはちょっと微妙?
他に類を見ないこのレザーホック。
「慣れれば使いやすい」部類の留め具なのかと思いきや、2ヶ月以上使い続けてた管理人は一向に慣れる気配を感じませんでした。
使い方に個人差は出ると思いますが、特にレザーホックを差し込んで留める難易度が他の留め具よりも遥かに高いような気がしてしまいます。
ノールックで差し込むのが全く安定せず、未だ7割くらいはしっかりホックを目で見て差し込まないと財布を閉じることができません。
ノールックだと財布を閉じたと誤信して手を離した次の瞬間、実はレザーホックが差し込まれておらず財布が開いてしまうケースも多発。
財布を開けばむき出しになるレザーホックも高級感があるとは言えず、安っぽいレザークラフト感を醸し出しています。
前作usuhaのように財布を閉じた状態で端の方が外側にはねてしまう欠陥はなくりましたが…。
この改変によって、財布の開閉に結構なストレスを感じてしまうようになったのは非常に残念です。
usuha2の小銭の使い勝手
前作usuhaから大きく変化を遂げたのがコインポケットの構造。
usuhaでは縦持ちしないと小銭が非常にこぼれやすくなるという短所がありました。
今作usuha2ではコインポケットに二重蓋構造を設け、小銭をこぼすリスクを最小限へと減らすことに成功しています。
通常の蓋の役割を果たすかぶせフラップと、コインポケット手前側のショートフラップによる二重構造。
紙幣を出し入れするときに財布を横持ちしても、この二重蓋構造がしっかり小銭を包み込んでくれるので、不意に小銭をこぼすことはなくなったはず。
しかしこの二重蓋構造によって、小銭を出し入れする動作に支障が生じる場合もあったりします。
今作も前作usuha同様に財布内側を「小銭の受け皿」として利用し、小銭を滑り込ませる使い方が推奨されています。
ただ、財布の持ち方によってはこのフラップが邪魔をして、スムーズに小銭を滑らせることができない場合があるのです。
例えば小銭を収納する際の動作については、 まずは受け皿に小銭を放り込み、そこから小銭をコインポケットへ滑り込ませる順序となります。
この時小銭をコインポケットへ滑り込ませるため、コインポケットの両端を把持してコインポケット及びフラップが自然と広がるように持つ必要があります。
しかしコインポケットの「握り」が甘いとフラップの広がりが十分ではなく、受け皿とフラップの間に段差が生じて、小銭がフラップに引っかかってしまうことが。
握り方が悪かったり下手をすると、このフラップの裏側に小銭が紛れ込んでしまうこともしばしばありました。
次に小銭を取り出す際の動作、コインポケットから受け皿へと小銭を滑り込ませる際にも似たようなことが起こりえます。
フラップを広げようとコインポケット側を握り込むと、受け皿部分の革が上手く膨らまず、受け皿の外側へ小銭がはみ出してしまう場合が。
この辺は財布の使い手と革が共にこなれていくことで解決できる問題かもしれませんが……。
逆に言うと使い手の財布に対する習熟度が低かったり、革の経年変化が上手くいかないと、いつまでたっても使いにくい財布となりえる可能性があります。
それとコインポケットのデメリットについてもう1点。
先ほども触れたとおり、今作は前作とは異なりコインポケット内部に裏張りがされ、剛性が増してカチッとした作りとなりました。
これにより、財布に力が加わってもコインポケット部分が薄く潰れることがなく、小銭収納量によりコインポケットが柔軟に形を変えられなくなりました。
つまりこの影響によって、収納する小銭の量が少ないと財布を持ち運ぶ際に「ジャラジャラ」と小銭同士がぶつかる音が発生するように。
多くの財布のコインポケットは、財布を閉じればコインポケット内部の空間は潰されるので、中の小銭が動くような隙間が生じにくくなります。
しかしusuha2はコインポケット内部に一定の空間が常に空いていることから、中の小銭同士がガチャガチャとぶつかり合う音がしちゃうんですね。
財布をポケットインで持ち歩く人の中には、体の動かし方によってはこの小銭の音が微妙に気になっちゃう人がいるかもしれないので、一応指摘しておきます。
使用者に「慣れ」を要求する財布かもしれないが、それが向いてる人にはピッタリマッチする財布かも
前作usuhaで指摘された多くの欠陥が修正されるとともに、その長所についてはいくつかが下方修正されたusuha2。
これによって今作は新たな問題点を内包しつつも、総じて前作を若干上回る一般的な機能性(一般受けする使いやすさ)を獲得したと言えるでしょうか。
ただこれ、やはり前作と同じく非常に強い癖のある財布で、その癖が合う人なら使いやすいだろうし、合わない人にはとことん合わない財布…と言えるかも。
既に次回作の構想も発表されているそうで、恐らくはユーザーの声を吸い上げてさらなる修正を加えた新バージョンが随時開発されていくものと思われます。