万双ミニの小銭入れはなぜ使いにくいのか検証~ラコニックとの比較

オーソドックスな形状を保ちつつコンパクトサイズにまとまった財布として一定の人気を集めている万双ミニ。
この財布の弱点の一つがその「コインポケットの使いづらさ」であると評されていますが、管理人も同意見。

万双ミニのコインポケットのどこに使いづらさを感じるのか?
その疑問点について、似た形状のコインポケットを備えるWSのラコニックと比較して少し考えたいと思います。

左側万双ミニ・右側ラコニック

上側万双ミニ・下側ラコニック

コインポケット底の深さの比較

コインポケットの形状にはいくつかの種類があります。
ボックス型、馬蹄型、トレイ型、三方ファスナー型、L字ファスナー型、片マチファスナー型、がま口型、バネ口型、ギャルソン型など。

万双ミニのコインポケットは一般的にフラップ型と呼ばれます。
フラップ型コインポケットにおいて「使いにくい」と言われる原因の一つがコインポケットの深さです。


ラコニックに比べて万双ミニのコインポケットは出入口が若干狭くて底が深くなっています。
これにより小銭が奥の方まで入り込み、一見して小銭を判別しづらく、指を奥まで入れないと小銭を取り出しづらいという弊害が起きます。

実際に小銭10枚を入れた画像を見比べると、小銭がコインポケットの奥まで入り込んでいる状態が確認できます。

しかしながらコインポケットの深さは収納量の多さというメリットも生みます。
それに、入った小銭を広い面積に均すことでコインポケットの膨らみを抑制する効果もあり、一概にデメリットばかりとは言えません。

コインポケットのマチ処理の比較

万双ミニのコインポケットの特徴として、大きくとられたマチを挙げることができます。

←ここ

←ここ

ラコニックに比べて笹マチ折りたたみ部分の面積が大きいのが見て取れると思います。

通常はこの笹マチが広く取られていると、コインポケットの開口部をガバッと広げることができて使いやすくなるはず……。
しかし万双ミニの笹マチは、革が内側に大きく折りたたまれるため、コインポケットの開口部を塞いでしまう不具合が生じてしまうことがあります。

万双ミニは笹マチの革を指で押さえて伸ばさないことにはコインポケットの出入口を塞いでしまい、ほとんどの小銭を視認できません。
また、折りたたまれた笹マチによって小銭が革の間に挟まれることもあり、こうなると財布を引っくり返しても小銭が落ちてこないことも。
他の財布で笹マチが邪魔になるコインポケットは見たことがないので、万双ミニ特有の不具合と言えるのではないでしょうか。

コインポケットの蓋(フラップ)の比較

文章では伝わりづらいかもしれませんが、万双ミニは財布が自然に閉じるよう内向きにテンション(張力)がかかっています。
ためしに財布を180度開こうとしても、160度くらいが限界になる造りに調整されているのが分かると思います。

そして財布の開閉にかかる中心部の折り目が、ちょうどコインポケットの蓋(フラップ)の折り目にかかるため、常にコインポケットの蓋(フラップ)にも内向きのテンションがかかってしまうんですね。

財布中心部の折り目↓

よってコインポケットのホックを外しても自然にフラップが開くことがなく、指でフラップを押さえてしっかり持ち上げる必要が生じます。
人それぞれ使い方によるかもしれませんが、自分の場合はこれが地味にストレスを感じます。

一方のラコニックは財布の折り目とコインポケット開口部が重なることはなく、万双ミニのようなストレスを感じることはありません。

財布中心部の折り目↓

自分にとっての「使いやすい・使いにくい」を見極めよう

以上ここまで、万双ミニのコインポケットの使いにくさについて自論を述べました。
しかし上記3点のポイントを使いにくいと感じるかどうかは使い手次第。
残念ながら自分には万双ミニは合いませんでしたが、スタンダードな2つ折り財布では最小レベルのコンパクトサイズであることは確か。
類稀なサイズ感に、縫製やコバといった財布の品質にも定評のある唯一無二の2つ折り財布であることは間違いありません。

同じような内向きフラップ型コインポケット式の2つ折り財布としては以下の物もありますが、いずれも有体に言って万双ミニより分厚く代用にはならない大きさであると感じました。

ただ万双ミニも完璧な財布とは言えず、いくつかの欠点も指摘されています。
革質が微妙と言われたり、カードポケットのホック裏地でカードが傷つきやすかったり、そしてコインポケットの癖が結構強かったり…。

万双は東京上野本店と神戸アトリエ以外に現物を確認できる取扱店舗がありません。
購入してから「こんなはずでは…」と後悔しないよう、この記事が自身の使い方に合うかどうかを見定める一助となれば幸いです。

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