近況 その27

comonoのSLIM-002を試用。使用感の確認とサイズ計測をさせていただきました。

この財布の外観上はいわゆる”Lファス”に分類される形状となっていますが、内部の構造は見てのとおり全くの別物です。
外装にはドラーロ(本件のはブライドルver)、内装にはブッテーロが使われている(一部カラー除く)とのことで、一定の品質は保証されていると言えるでしょう。

まずは最初に恒例のサイズ測定。

縦横面積は一般的なLファスと比べるとやや小さめ。しかし厚みはやや大きめの数値が出てしまいました。
いずれの数値もMunekawaのCramとほぼ同じで、つまりは「やや小さい分厚めのLファス」といった位置づけになると思います。

この財布の特徴は、普通のLファスとは全く異なるその使い勝手にあります。

画像のようにファスナーを開くと、まるで2つ折り財布のように全体を大きく開くことができます。
これによって紙幣を手折りにせずとも伸ばしたままの状態で収納することが可能となっています。
要は2つ折り財布と似たような使い方ができる訳ですね。普通のLファスのように紙幣を手折りにする必要はありません。

内部に備え付けられているのは札室1箇所にカードポケット3箇所とコインポケット1箇所。
Lファスというよりファスナー付き2つ折り財布と考えるべきかもしれませんね。

札室の使用感

紙幣手折りの必要がないため、一見すると2つ折り財布と同じように紙幣を使えそうにも思えますが…。
札室にファスナーが接している関係で、紙幣を出し入れする際にどうしても指がファスナーに接触してしまいます。
個人差もあるかもしれませんが、個人的には意図せず指がファスナーに触れるのはそこはかとない不快感を感じます。

真ん中のファスナー接合部には当て革がされており、この革に沿って指を入れるとファスナーとの接触を回避できるとはいえ難易度は高め。
なお、財布を閉じた時にこの当て革によって紙幣に独特の折り目がつく場合がありますが、これは気にかかるほどの癖がつくわけではないので安心。
紙幣の折り曲げ部をファスナーが噛まないようにするための工夫なんでしょうね。


なお、指についてはファスナーへの接触不可避ですが、紙幣については取り出す際にファスナーにひっかかる心配はないと思います。
札室は片方の端が縫われておらず、大きく開くことができるのでスムーズな出し入れが可能でした。

カードポケットの使用感

3箇所あるカードポケットにはスペースに余裕があり、1箇所に2枚か3枚のカードを入れることが可能です。
通常の財布だとホールド力が弱くてカードが抜け落ちる原因にもなるこの余裕。
しかしこの財布はファスナーで全体をしっかり包み込むのでそのような心配はありません。
少ないポケット数で収納量に余裕を持たせていると言えますね。

ただし1つひっかかったのが、札室に接している上部のカードポケット2箇所について。
ここからカードを取り出そうとすると高確率でカードがファスナーにひっかかってしまいます。
この引っかかりは結構なストレスを感じるので、使用頻度の高いカードは向かって左下のカードポケットに入れた方がよいと思います。

コインポケットの使用感

マチありのよくある形のコインポケット。
通常は蓋の役割を果たすフラップがありませんが、ファスナーを閉じれば全体を包み込むので小銭が落下する心配は全くありません。
フラップがないのは厚みを抑えつつ収納量を大きくとるための工夫なのかもしれませんね。
ただ、コインポケット開口部は大きく開いてくれるものの、底の方が狭くて深いので小銭の取り出しは若干やりにくいかも。

ここで、右上の画像のコインポケット内部、並んだ小銭に沿って見える縫い目↑のところを見てください。
この縫い目はカードポケットの底辺部分で、ここより深い位置にカードが入り込まない設計となっています。
つまり、小銭少量が底の方に溜まった状態だと、底上げされているカードポケットとは重ならないように設計されているみたいなんですね。

カード段を上部に設置することでコインとの干渉を極力さけるように設計されています。
薄さはもちろん、使いやすさ、収納力を最大限に追求したL型財布になっています。

全ての小銭カードの重なりを回避できる訳ではないんですが、それでも収納時の厚みの増え方を少なく抑えるための素晴らしい工夫だと思いました。
空っぽの状態と一定量収納時を比較して、厚みがおよそ5mmしか増えない財布は結構少ないはずです。

Lファスと2つ折り財布の良い所悪い所の両方を兼ね備えた、合いの子のような財布

Lファスとして見ると、小さいけど、分厚い。
2つ折り財布として見ると、大きいけど、薄い。

これをハイブリッド的な長所と見るか、どっちつかずの中途半端な短所と見るかは人によって違うのでは。

指やカードがファスナーに引っかかりやすいのは人によっては大きなデメリットになり得るだろうし、財布の開閉に「ファスナーを開く」「ファスナーを開けてから財布を開く」というツーアクションが追加されるのは確かに一手間二手間を感じるかもしれません。

しかし、普通のLファスのように紙幣手折りの必要がなく、それでいて一定以上の収納量を確保しながらファスナーを留め具として中身をこぼすリスクをなくせる安心感を得られるのは強みですね。

それと、散財日記で引用されていた【万双】新作革財布の製作現場 [最終回] – YouTubeからの引用部分。

ただの二つ折りをファスナーで密封しただけなんですけどね。
なんだかちょっといい感じに、ポケットに入れていただいても二つ折りの型崩れするって最大の欠点をこれで防いだ感じなんですね。

どうやらこの構造は型崩れの防止にもなるようですね。この辺は使い込まないと分からない部分かもしれません。

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